もったいない精神はどこからきたの?知れば今日から手放し上手に
日本人にとって馴染みのある「もったいない精神」は、今や日本の美しい文化として世界中に知られています。
しかし、どこからどのようにして伝わった考え方であるかご存知でしょうか。由来や本来の意味を知らない方も多いかもしれません。また、現代の日本は「もったいない精神」が薄れ消費大国となり、廃棄物の問題を抱えるようになりました。
今一度、もったいない精神の由来や本来の意味を知り、ものを生かす道を考えてみましょう。
世界に広がるもったいない精神
もったいないは「勿体無い」とも書きます。これは仏教用語に由来する言葉とされ、次のような意味があります。
- ものが持つ本来の価値をなくしてしまうことが惜しい
- 物事はすべて繋がっていて、ものを無駄にすることは自分の命を削ることにつながる
このような仏教の教えから、「ものの形が残っている限りは最後まで使う」という「もったいない精神」が生まれたとされています。
今から300年ほど前の江戸の町は、人口100万人を超える大都市でした。しかし、利用できる資源は限られていたため、皆が当たり前のように「もったいない精神」を持っていました。
たとえば、着物は次のように、ものの形がなくなるまで有効活用していました。
- 古着としてリサイクル
- 布団や座布団などに仕立て直して使用
- おむつや雑巾として使用
- 生地を燃やした後の灰を製紙・染色・肥料・洗剤として使用
着られなくなったあとも、別の用途で使用することは当たり前の時代でした。生地として使えなくなったあと、燃やした灰までも貴重な資源として利用してきたのです。
これこそが、古くから日本人が持ち続けてきた「もったいない精神」のあり方でした。日本以外にも資源を大切にする文化はありますが、その精神を表現する言葉はないとされています。
しかし、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの2005年来日を機に、「もったいない」という言葉とその精神が世界に広く認識されるようになりました。 マータイさんは「もったいない」の持つ意味と精神に感心し、環境を守る世界共通の言語として「MOTTAINAI」を広めていくことを提唱したのです。
マータイさんの活動により、日本の「もったいない精神」は世界中で広く影響を与え、植林活動、レジ袋の削減などが進んでいます。
もったいない精神を生んだ日本の廃棄物量
ものを大切にしてきた日本人ですが、現在では世界的に見ても廃棄物量が多い国に位置づけられています。経済協力開発機構(ODEC)加盟国など、世界30カ国の都市ごみ総発生量のランキングで日本は4位でした(2010年時点)。
2022年3月の環境省の発表によれば、2020年の日本のごみ総排出量は年間4,167万トン(東京ドーム約115杯分)にもなります。 さらに、排出されたごみのうち焼却された割合は79.5%、資源化された割合(中間処理率)はたったの19.6%でした。 日本の「もったいない精神」は世界で注目されていますが、実は資源化率については、2011年から2020年の約10年間でほぼ変化していないのが現状です。
また、まだ食べられる食品の廃棄に関しては、日本の国民1人あたり「おにぎり1つ分」の食品を毎日捨てているという報告があります。2021年時点の世界の食品ロスランキングでは、日本は14位という結果です。
今や日本人こそが、地球全体の廃棄物量を減らすために「もったいない精神」を取り戻す必要が出てきています。
もったいない精神を実践するなら3R
もったいない精神は、まだ使えるものを「捨てずにとっておけばよい」という考え方ではありません。ものの価値がなくなるまで使うことこそが、日本古来のもったいない精神を引き継ぐことにつながります。
今から「もったいない精神」を実践するためには、3Rを意識することがポイントです。
3Rとは、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の頭文字を取った、資源の有効活用法の総称です。それぞれ次のような意味があります。
- リデュース…資源やごみの量を減らす
- リユース…ものを繰り返し使用する
- リサイクル…使用後に資源として再利用する
今から実践できる3Rの例を次に挙げますので、あなたも今日から「もったいない精神」を実践してみましょう。
- リデュースの例…マイバッグで買い物をする、繰り返し使用できるラップを使用する、不用なものは買わない、消費期限内に食品を消費する
- リユースの例…壊れたものは修理して使用する、着なくなった服・使わなくなった家電・飽きてしまった趣味用品などを譲ったり寄付したりする
- リサイクルの例…資源ごみを適切に分別する、家電4品目・小型家電は家電量販店や自治体に持っていく、リサイクル製品を選んで購入する
もったいない精神を社会貢献につなげよう
もったいない精神を実践するメリットは、環境負荷の低減だけではありません。不用となったものを再び誰かの元で使ってもらうことで、社会貢献につながります。
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