児童労働が多い国・地域はどこ?世界の現状と実態を解説
児童労働は子どもの身体的、精神的な発達を妨げ、教育機会の喪失につながるため、基本的には禁止されています。しかし、国や地域によっては児童労働が珍しくなく、解決すべき社会課題として認識されています。
それでは、どんな国や地域で児童労働が行われているのでしょうか。今回は児童労働が多い国や地域、業種もご紹介します。
児童労働が多い国・地域はどこ?
ユニセフとILO(International Labour Organization:国際労働機関)によると、2020年の時点で5歳から17歳までの児童労働は、世界中に1億6,000万人存在し、そのうちの約7,900万人が危険な労働に従事しています。
その中でも、児童労働はどんな国や地域に集中しているのでしょうか。ユニセフとILOのデータをもとにご紹介します。
アフリカ
アフリカは児童労働が多い国として知られています。特に、サハラ以南のアフリカ地域は児童労働の人口が8,660万人と多く、4~5人に1人の割合となっています。
アフリカの多くは発展途上であり、農業で生計を立てる人がほとんどです。しかし、農業だけでは大きな利益を生みにくいことに加え、天候の影響で収穫量も不安定となります。さらに、農業は多くの人手を必要とするため、子どもが労働力として駆り出されがちです。
そのため、子どもたちは教育の機会を失ってしまい、多くの収入を得られる職業に就きにくくなってしまい、貧困のスパイラルから抜け出しにくくなっています。
アジア太平洋
アジア太平洋も4,870万人と児童労働の人口が多い地域です。特に有名な国としては、バングラデシュやインド、パキスタンなどが挙げられます。
バングラデシュはファストファッションの縫製工場が多く、児童労働が多くなりがちで、労働者の人権が配慮されていない環境で働かされていたという報告も。中でも2014年に起こったラナ・プラザの崩壊事故は有名でしょう。
インドやパキスタンは、2002年の日韓ワールドカップが開催される1年前に、手縫いのサッカーボールをつくる仕事をしていた少女が日本に来日し、記者会見が行われたことで多くの人が衝撃を受けました。
他にも、貧富の差が激しい中国も貧困に陥りがちな農村部で児童労働が見られ、日本でも収入がない家庭では子どもが風俗店で働かされるケースはあり、隠れた児童労働として問題となっています。
アメリカ大陸
南アメリカも経済格差が大きく、児童労働が珍しくありません。ブラジルに関しては、アフリカと同じように農園で働く子どもが多く、低賃金で学校にも通えないことで、貧困から抜け出せない状況となってしまいます。
経済大国のアメリカですら、児童労働が大きな問題です。アメリカでは移民が多く、中にはメキシコ系の人々も含まれています。メキシコ系の移民はアメリカ国内で安定した職に就けないことが多く、移住後も貧困を抜け出せず、児童労働に発展してしまうのです。そのため、アメリカ大陸でも約8,300万人の児童労働が報告されています。
欧州・中央アジア
欧州・中央アジアも8.300万人ほどの児童労働が報告されています。
中央アジアでは、ウズベクスタンにおける綿花畑の児童労働が特に有名で、秋になると学校から子どもたちが連れ出され、わずかな賃金か無償で綿を積むよう強制されたというケースもありました。
欧州も産業革命時期、植民地の児童労働が行われていた過去があります。現在は各国で禁止していますが、アメリカのように移民による児童労働が規制しきれていない状況です。
アラブ諸国
アラブ諸国では2,400万人の児童労働が報告されています。こちらの地域は紛争が多く、政治情勢も不安定なことから、過酷な状況で労働を強いられる子どもが少なくありません。
紛争が起こっている場合は、戦闘地域で物品密輸、爆発物が散らばる田畑で食料の回収など、労働内容が危険なことも。終わりのない紛争は貧困を深刻なものにしてしまい、負のスパイラルを生み出します。
紛争が原因となるさまざまな問題も、この世界が抱える課題の1つと言えるでしょう。
児童労働が行われている職種は?
次に、児童労働はどんな職種で行われているのか、ユニセフとILOの調査をもとにご紹介します。
圧倒的に多い農業分野
児童労働が最も行われている業種は、農業分野となります。
その割合は70%と圧倒的です。児童労働の原因は貧困が大きく関係しますが、そういった環境におかれている家庭の多くは農業によって収入を得ています。大きな農場となると労働力が足りなくなり、さらには農作物が適正な価格で売れないとなると、低賃金で子どもまで利用してしまうのです。
例としては、カカオや紅茶、ガム、タバコ、コットンといったプランテーションが児童労働の現場となっています。
物販や窓ふきなどサービス業
貧困に陥りがちな農村部から出たとしても、教育を十分に受けていない子どもは、正規の仕事に就くことは難しく、雑用に近いサービス業で収入を得ようとするパターンもあります。
具体的には、路上での物販や車の窓拭き、電化製品の解体、家事使用人など。児童労働の中でも、これらサービス業に就く子どもは19.7%。この中には風俗店も含まれ、日本の「隠れた児童労働」もサービス業に含まれます。
縫製や加工といった工業
工業や製造業も児童労働が多く、その割合は全体の11.9%。バングラデシュの縫製工場、パキスタンのサッカーボール製造もこれらに含まれます。
工場だけでなく、家庭で大人と一緒に作業するケースも少なくありません。家庭内で働くのであれば、安全だと感じるかもしれませんが、これの児童労働も大きな危険を伴います。なぜなら、家庭内児童労働に従事する5歳から11歳までの子どもの4人に1人、12歳から14歳までの子どもの約半数が、健康や安全、道徳を害する恐れのある仕事に関わっているからです。
参考:International Labour Organization 児童労働 2020年の世界統計、動向、前途
児童労働が行われる国などを支援するには
このように児童労働は世界的に見ると多くの子どもが危険にさらされている問題です。そして、児童労働の問題は、貧困や教育、水不足といった問題が関係しています。
なぜなら、途上国では水の確保が難しい地域が多く、子どもが長い時間をかけて水を汲みに行かされるため、教育も受けられず、結果的に大人になっても収入の低い仕事にしか就けないことから、貧困から抜け出せないという状況になっているからです。
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