下駄の歴史とは?発祥から現在まで由来を含めてご紹介
下駄は「カランコロン」という音が特徴的な、とても風流な履物です。
昨今では下駄を履くことも、見る機会も少なくなっていますが、日本の伝統的な履物であることは間違いありません。
下駄は、いつから日本の歴史に登場し、どんな経緯で人々から親しまれるようになったのでしょうか。
今回は下駄の発祥から現在まで、その歴史をたどってみましょう。
下駄の歴史とは?発祥から呼び名の由来
日本の伝統的な履物、下駄がどのように誕生して普及したのか。その歴史を見てみましょう。
下駄の発祥は農具から
下駄の発祥は、田下駄という田んぼで作業する際、足が沈みこまないために使われる農具だったと考えられています。
そのような農具は紀元前3,000年前の中国浙江省寧波市の慈湖遺跡から、日本では弥生時代の登呂遺跡からも出土しています。
また、農具ではない履物としての下駄は、5世紀の桓武山ノ花遺跡や鴨田遺跡から出土していますが、鼻緒の素材に何が使われていたのか、という点は不明です。
室町時代から使われ始める
下駄が使われるようになったのは、室町時代から江戸時代にかけてのことでした。
最初は支配者層を中心に広まり、庶民一般の履物となったのは、江戸時代の後半。
しかも、使われていた地域は江戸や大阪などに限られていました。
戦国時代に呼び名が成立
ちなみに、下駄と言う呼び名が成立した時期は、戦国時代と推測されています。
それ以前は足下(あしした)を意味する「アシダ」と呼称され、足駄などさまざまな字があてられていました。
アシダは上履き・下履きを問わない履物でしたが、下履きに限定したものを「下駄」と言い、それが定着していったと考えられています。
下駄の普及は昭和30年に絶頂へ
一般的に下駄が使われるようになると、普段着の洋装と履かれる機会も増えました。
ファッションとして崩れた洋服などに下駄を履く男子学生が、バンカラと呼ばれることも。
また、機械化による大量生産が進んだ1955年頃は、日本で下駄が最も普及したと考えられています。
しかし、既にゴム製の履物も登場し、下駄の売り上げは落ち始めていました。
それでも、1960年代まで洋服に下駄を履いて遊ぶ子供の姿は珍しくなかった、と言われています。
現在の下駄
現在は、スニーカーやビニール素材のサンダルの普及、車の運転に適さないことから下駄が履かれる機会はほとんどありません。
下駄を履く機会と言えば、温泉施設に備え付けられている、神職用として使われる、といったケースが挙げられます。
祭りや花火の日に履かれる、ファッションとして取り入れられることも稀にありますが、騒音と受け取られる、床が傷むといった理由で、下駄をお断りの場所も少なからず存在しています。
歴史の深い下駄の文化
深い歴史を持つ下駄は、さまざまな文化に取り入れられています。下駄が取り入れられたお祭りや言葉をご紹介します。
下駄に関するお祭り
和歌山県田辺市の祭り、弁慶まつりでは下駄に鈴を付け踊り競うイベントがあります。
新潟県最大の踊りのお祭りとして有名な「にいがた総踊り」も小足駄を履いて踊る、下駄総踊りが行われます。
また、下駄を蹴り上げて落ちた形で天気を占う、天気占いがありますが、福岡市では日本ゲタ飛ばし協会によってこれを競技化。下駄飛ばしの大会が有名です。
下駄による慣用句
下駄を用いた慣用句も存在します。例えば「下駄を預ける」ですが、決定権を譲り全面的に相手に任せることを意味します。
「下駄を履かせる」は、何らかの数量が負の値にならないよう、一定の数量や物量を足すこと。これは、下駄を履くと背が高くなることから、下から押し上げるイメージです。
「下駄を履くまでわからない」は、全て終わるまで結果はわからない、という意味、特に勝負に関して用いられます。
下駄の派生的表現
寿司を盛る木製の台を「寿司下駄」と言うように、下駄から派生した言葉がたくさんあります。
まず、プリント基板に半導体メモリなど電子部分を差し込むソケット部分の形状が下駄に似ていることからゲタと呼びます。
搬入時の床面の保護、設置時の高さ調節のために取り付けられる、家具の底部に取り付けられた材料が下駄と呼ばれることも。
履物を収納する家具も「下駄箱」と言われますが、下駄が一般的な履物でなくなっても、その名前だけが現在も残っています。
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