ユダヤ人が迫害された理由とは？歴史と背景を簡単に解説

schedule 2024.10.16

ユダヤ人は長い歴史の中で迫害を受け続けてきました。なぜユダヤ人は迫害されたのか。何か理由があったのか、ユダヤ人の歴史をたどって解説していきます。

ユダヤ人が迫害された理由とは？歴史を解説

ユダヤ人が迫害されたことには、何か理由があるのでしょうか。その歴史を見てみましょう。

ユダヤ人が迫害を受けた大きな理由の1つは、ユダヤ教とキリスト教の関係です。キリスト教はもともとユダヤ教から生まれた宗教で、イエス・キリストを救世主として信仰しています。しかし、キリストはユダヤ教に対し批判的な部分があったため、当時のユダヤ教の支配者たちに処刑されてしまいました。

その後、感染症が流行ったために多くの人がキリスト教に救いを求めると、ローマ帝国が信仰を容認。これがきっかけで、キリスト教を信仰する人々が増え続けヨーロッパに広まりますが、ユダヤ人は「イエス・キリストを十字架にかけて殺した罪人」だとレッテルを貼られることに。

そして、その後も宗教や文化の違いからユダヤ人は嫌われ、差別を受けるようになってしまいます。

11世紀末に始まった十字軍運動もユダヤ人が迫害された理由の1つだと言われています。十字軍運動は、キリスト教徒が聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還しようとした戦争でした。

しかし、当時十字軍の指導者たちは、ユダヤ人もキリスト教の敵対者とみなすことで、宗教的な正当性を主張できると信じ、ユダヤ教への弾圧を始めます。これにより、宗教的な主張から、ユダヤ人に対する襲撃事件が次々と起こり、ユダヤ人への差別と暴力が深刻な問題となりました。

ユダヤ人への迫害は宗教的な理由だけでなく、「金の亡者」という偏見からきています。

中世のキリスト教では「キリスト教徒同士で利息を伴う金の貸し借りはいけない」という教えがありました。しかし、ユダヤ教も同じユダヤ教徒に対して利息を取り立てることは禁止されていたものの、キリスト教徒が相手であれば可能だったため、金融業を手掛けることに。

また、この背景には、当時のユダヤ人が公職やギルドから追放されるなど、職業に厳しい制限があったため、まともな仕事に就きにくく、金融業に従事したという事情がありましたが、その後に「ユダヤ人は金持ちで金の亡者だ」という偏見が定着してしまい、忌み嫌われる理由の1つとなってしまったのです。

ドレフェス事件は、19世紀末にフランスで起きた反ユダヤ主義による陰謀事件で、フランスのユダヤ系の将校ドレフュスがスパイ容疑で終身刑を言い渡されました。

ドレフェスは無実を訴え続け、その後の調べでは冤罪だと判明しましたが、フランスは根強いカトリック教国でユダヤ人に対する差別意識と反ユダヤ感情が強く、フランス政府や軍部は無実だとわかりながらその真実を隠蔽しようとしていました。

当時はユダヤ人に対する差別があるとして再審を求める共和派、有罪判定を指示したフランス政府と軍部の2つで対立し、ユダヤ人に対する無差別な偏見が浮彫りにされました。

また、この事件を取材していた新聞記者である、テオドール・ヘルツルはユダヤ人に対する差別と偏見を目の当たりにし、後にユダヤ人国家建設を目的とするシオニズムを提唱しています。これが後のイスラエル建国につながります。

ユダヤ人の迫害がピークになり、ユダヤ人の大虐殺が起こったのが、ナチスドイツによるホロコーストでした。

ナチスドイツは、明確な敵を作ることで国民を1つにするため、ユダヤ人を徹底的に排除した政策を始めました。ユダヤ人の市民権のはく奪。そして、強制収容所を各地に設けて、強制収容所のガス室でユダヤ人を大量殺害するなど、残虐な行為を行ったのです。

これらにより、殺害されたユダヤ人の数は600万人にのぼると言われています。

ユダヤ人迫害の理由は歴史の中で起こった、さまざまな出来事が関係しています。このような差別や偏見で苦しむ人は今も存在し、そのような方々を支援する方法は限られているかもしれません。しかし私たちにできることはあります。

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