カシミール地方とは?歴史や印パ衝突の原因を解説

カシミール地方は「南アジアの火薬庫」と呼ばれ、領有権を主張するインド・パキスタンが何十年にも渡り紛争を続けている地域です。昨今のニュースでも、まさに両国間の衝突が話題となっていますよね。しかし、カシミール地方の歴史や紛争の原因がイマイチよくわからないという方も多いはずです。
そこで今回は、カシミール問題の背景を歴史的・宗教的に読み解いてわかりやすく解説。なぜ印パが衝突するのか、双方の事情や戦いがはじまった理由も知ることができますよ。
カシミール地方とはどんな地域?
まずは カシミール地方の場所・歴史など、概要についてご紹介します。
カシミール地方の場所
カシミール地方はインド亜大陸の北西部・インダス川上流に位置し、インド北部・パキスタン北東部・中国の国境付近に広がる山岳地帯です。
広大なヒマラヤ山脈・緑豊かな谷・広大な湖などの美しい自然や、夏でも涼しい気候が魅力的な地域で、避暑地やスキーリゾートなどの観光地として人気があります。また、ヤギの産毛から作られる織物「カシミア」の語源となったことでも有名です。
カシミール地方が所属する国は
カシミール地方は、インド・パキスタン・中国の3カ国が領有権を主張する国境地帯です。そのため所属する国は未定で、日本の地図でも3カ国が主張するすべての地域(パキスタンから中国へ割譲された地域を除く)で国境を画定せず、実効支配線(停戦ライン)のみ描く方法をとっています。
現在では、3カ国がそれぞれ以下のように実効支配しています。
- インド・・・ジャンムー・カシミール、ラダック
- パキスタン・・・アザド・カシミール、ギルギット・バルチスタン
- 中国・・・北東部アクサイチン
が、相手国はそれを認めていません。カシミールの帰属問題により3カ国間、特にインド・パキスタンの間で争いが続いています。
カシミール地方の歴史
カシミール地方は古くから、イスラム教・ヒンドゥー教・シク教などの宗教が入れ替わり栄えた地域でした。19世紀に入ると、イギリスがインド・パキスタンを含むインド亜大陸の広い地域を植民地支配し、ヴィクトリア女王がインド皇帝を兼ねたインド帝国が成立。カシミール地方には、ヒンドゥー教徒を藩王とする藩王国(内政権を与えられていた国)が成立します。
第二次世界大戦後、インド帝国は解体し1947年にはインド・パキスタンが分離独立。イスラム教徒の多い地域がパキスタン、ヒンドゥー教徒の多い地域がインドとして独立しました。このときカシミール地方の藩王国は、インドかパキスタンのどちらか一方に帰属することが決定するものの、ヒンドゥー教とイスラム教が混在する地域であったため、帰属問題に発展していきます。
ヒンドゥー教徒の藩王がインド帰属を表明するも、人口の4分の3がイスラム教徒であったために住民やパキスタン側がこれに反発。印パ両国が領有権を主張して、1947・65・71年に3度のインド=パキスタン戦争(印パ戦争)が勃発します。1972年のシムラ協定で現在の実効支配線が画定しますが、それ以降も印パ間では衝突が繰り返されています。
カシミール地方で紛争が起こる原因とは
カシミール地方で紛争が続く一番の原因は、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の宗教的対立にあります。特にインドの実力支配地域であるジャンムー・カシミール(インドで唯一イスラム教徒が多数派を占める地域)では、インド統治から逃れたいイスラム系住民がインドの治安部隊と衝突を繰り返しています。そのたびにインド軍は、パキスタンの関与を主張して報復攻撃を行っているのです。
2019年、パキスタンに本拠地を置く過激派組織によって大規模テロ事件が発生すると、インド政府はジャンムー・カシミールの取り締まりを強化し、準自治的地位を剥奪します。治安は一時安定化し、数年間は観光地として栄えたものの、本年(25年4月)には観光客を巻き込んだテロ事件が発生し、印パ間は現在、再び緊張状態にあります。
その他、以下もカシミール問題を複雑化している要因です。
- 中国との国境問題
- 印パ両国の核保有問題
中国とインドの国境付近にある東部アクサイチンをめぐり、1962年には中印国境紛争が勃発。93年の和平協定で実効支配線が画定し、現在では中国が実効支配していますが、2020年には国境周辺で両軍が衝突して現在でも緊張状態が続いています。
また1998年以降、印パ両国では核実験が繰り返され、現在では両国ともに170発を超える核弾頭を保有していると推定されます。その結果、カシミール問題は核保有国同士の摩擦へと発展し、両国間の関係悪化は国際社会全体の懸念につながっています。
紛争が起こるような地域を支援するには
1990年代以降、紛争が続くカシミール地方では、民間人を含む数万人以上の人々が死亡しています。また紛争が長期化することで、そこに住む人々は慢性的な燃料・物資・水不足に苦しみ、過酷な生活を強いられるようになります。
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