水をめぐる戦争とは?勃発の原因と世界各地の実例を紹介

この世界は深刻な水不足にあり、それが原因で戦争・紛争に発展するケースも珍しくありません。ナイル川やインダス川、ヨルダン川が流れる地域では、何年も前から水による争いが懸念され続けています。

今回は水による戦争や紛争が起こる原因と、その実例をご紹介します。

水の危機が戦争・紛争に!原因と影響は

水の惑星と表現される地球ですが、多くは海水であり、私たち人間が飲める淡水は限られています。さらに、人口増加や水質汚染といった問題も重なり、深刻な水不足に陥る地域も少なくありません。そのため、貴重な水資源をめぐって争いが起こることもあります。

日本は島国であるため、流れている川はすべて「日本の川」となりますが、外国ではいくつかの国にまたがって流れる川が存在します。これを国際河川と言って、世界に約260存在していますが、1本の川が複数の国にわたって流れていた場合は、これの利用をめぐって争いが生まれてしまうのです。

また、水をめぐる争いが起こる場合、他に端を発する国境問題と緊張関係が影響しているケースもあり、戦争や紛争を加速させてしまうこともあります。

今後も人口増加や砂漠化の進行によって、水不足が深刻になると予想されます。新たな争いを生み出さないためにも、私たちは水の問題について真剣に考えなければなりません。

世界各地で起こった水の戦争・紛争を紹介

次に、実際にあった水をめぐる戦争や紛争の事例を紹介します。

ナイル川をめぐる争い

ナイル川はアフリカ大陸の北東部に位置するヴィクトリア湖を源流として北上し、主にエチオピアやスーダン、エジプトを流れています。

国土全域で降水がほとんどないエジプトでは、ナイル川の依存が高く、利用について何度か争いがありました。1929年、イギリス(当時支配下にあったアフリカの4か国を代表)との間で結ばれた水利協定では、両国間の水配分が決定され、エジプトは自らの水利用に影響する上流の河川開発事業は拒否権を保持すると定められます。

さらに、1959年にエジプトとスーダンの間で新たな水利協定が締結。これはナイル川の年間水量を推定840億トンとして、そのうち約100億トンは蒸発によって失われるとして差し引き、残りの水の約75%である555億トンをエジプトに、約25%の185億トンをスーダンに、という内容でした。

しかし、この権利と配分はエジプトにとって非常に有利であったため、上流に位置する国々は不満が強く、1999年に「ナイル川流域イニシアティブ」が流域9ヵ国によって結成。続いて、2010年に「ナイル流域協力枠組み協定」が提案され、他国に影響を与えない範囲で自国内の水資源を自由に使えるという内容に上流域諸国は歓迎しましたが、エジプトとスーダンはこれを拒否します。

それでも、上流域のエチオピア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアといった国はこの協定に署名を行い、エチオピアに関しては「グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム」と呼ばれるダムを建設。結果、エジプト、スーダン、エチオピアの緊張感は高まり、2020年の時点でエチオピア政府は「貯水に他国の同意を得る法的義務はない」「戦争をするなら数百万人を動員できる」と表明する事態となりました。

インダス川をめぐる争い

インダス川は、チベット自治区のマーナサローワル湖付近から始まり、インドの北部、パキスタンに流れる川です。

歴史あるこの川が抱える問題は、主にインドとパキスタンの関係によるものとなります。インドとパキスタンは、複数回の戦争が起こるほど関係性は悪く、さらにインダス川の利用も絡むため、緊張感が高まっている状況です。

1960年に2国の間に水管理条約が締結され、問題は解決されたと思われましたが、国土の多くがインダス川流域にあるパキスタンでは、インドによるダム建設や意図的な過剰取水による水量減少を疑う国民も多く、再び争いの原因となるのでは、と指摘されています。

ヨルダン川をめぐる争い

ヨルダン川の水利権も、イスラエル人とパレスチナ人の間で続く紛争、いわゆるパレスチナ問題に大きく関わっています。

パレスチナ問題の歴史は長いものですが、中東戦争後にイスラエル軍がパレスチナ自治区を占領し、広い地域を統治下に。さらに、水利権に関してもイスラエルによる占有が進められました。

イスラエル軍は、1967年にヨルダン川西岸やガザ地区を占領すると、同年8月に水利権の全権を握ると布告。11月にも水道施設許認可権を布告し、無許可の施設や資源は有罪判決を待たずに没収できると布告、1968年には「1967年以前の地権・水利権」の契約はすべて無効と布告しています。

1993年のオスロ合意では、双方の水利権が認められ、詳細は最終地位交渉で決定されるということでしたが、交渉は決裂。水問題だけでなく、現在もイスラエルとパレスチナの関係は解決に至っていない状況です。

ドナウ川をめぐる争い

ドナウ川は、ドイツ南部のバーデン=ヴュルテンベルク州から東へ流れ、10ヵ国以上を通る川です。

そんなドナウ川をめぐって争うのは、スロバキアとハンガリーの2国でした。1977年、スロバキアとハンガリーの政府は、ドナウ川の開発条約を締結。スロバキアはガブシコバダム、ハンガリーはナジュマロシュダムを開発することになります。

1985年から共同工事を開始するはずでしたが、ハンガリーでは環境や沿岸部の水没を理由にダム建設反対運動が起こり、1989年に東欧革命によって民主化すると、新政府は企画を中止することに。しかし、スロバキアはダムを90%完成させていたため、ハンガリーの決定に猛反発します。

1992年、ハンガリーは条約を破棄したことから、両国の対立は頂点に達し、この問題はデン・ハーグにある国際司法裁判所へと提訴されました。そして、1997年に国際司法裁判所は、条約を一方的に破棄したハンガリーとダム建設を強行して自然環境を破壊したスロバキアの両方に問題があるとして、両国に罰金を命じることに。

ちなみに、この判決は国際司法裁判所が国際河川の紛争に対して判決を下した世界初のケースとなりました。

チグリス・ユーフラテス川を巡る争い

チグリス川とユーフラテス川は、トルコ東部の山岳地帯を水源とし、シリアやイラン、イラクを流れます。

この三国は水資源の分配がたびたび問題となっています。トルコは1970年代に入ると経済発展を促すため、チグリス=ユーフラテス川流域に22カ所のダムと19カ所の水力発電所を建設する「南東アナトリア開発計画」を開始。すると、シリアとイラクの水不足が深刻なものになってしまいました。

これに対し、トルコは水を外交に利用しているという指摘があります。トルコとイラクの間には、未解決の課題がいくつも存在していますが、関係性が悪化したとき、トルコは水資源を切り札に圧力をかける、という手段を取ることも考えられるのです。

水の利用は命に直結するものであり、これが外交に利用されれば緊張感は高まり、戦争や紛争につながると考えられます。

水不足による戦争・紛争が起こる国を支援するには

このように、水不足が原因で争いの発展につながってしまうケースは数多くあります。それだけ水不足は私たちにとって深刻な問題と言えるでしょう。しかし、そんな水不足の問題に対し、個人で貢献できるサービスが存在します。

それが不用品の寄付サービス「キフコレ」です。

キフコレは家電製品から生活雑貨まで幅広い不用品の寄付を募るサービスですが、利用されるたびに以下のような4つの社会貢献につながるという特徴があります。

  • 不用品をリユース・リサイクルすることでゴミを減らして、環境保全の支援
  • 送るたび、SNSでシェアするたびに100Lの水をきれいにする浄化剤の寄付
  • 途上国の雇用創出・自立支援
  • 国内障がい者の雇用促進・就労支援

しかも、利用方法は簡単で、不用品を段ボールに詰めたら宅配業者各社の営業所やコンビニなどから送るだけ。不用品を片付けられて、水浄化剤の寄付を始めとする社会貢献につながるならば、一石二鳥のサービスと言えるのではないでしょうか。

キフコレに興味が出た方は、ぜひこちらから寄付の対象だけでも確認してみてください。

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