寄付は偽善と思われる?その理由や純粋な想いを届ける方法とは
寄付は時に「偽善」と思われ、批判されることがあります。例えば有名人が災害支援などで多額の寄付を行ったとき、SNSで偽善だ・売名行為だなどと騒がれているのを耳にしたことがあるのではないでしょうか。なかには偽善と思われるのが嫌で、寄付をためらっている方もいるかもしれません。
そこで今回は、なぜ社会貢献であるはずの寄付が偽善と非難されるのか、その理由をご紹介。偽善と思われないために気をつけるポイントや、純粋な想いを届けやすい寄付方法もご紹介していますので参考にしてください。
なぜ寄付は偽善と思われる?5つのケース
寄付が偽善と思われる理由は、その動機にあります。寄付をするときに相手(寄付を受ける人)のためを思うのではなく自己中心的な目的がある(ように見える)とき、周りはその行為を「偽善」と感じます。具体的な5つのケースをご紹介します。
他者からの評価を高めるための寄付
他者からの評価を高める目的で寄付をする場合、その行為は偽善と思われることがあります。具体的には以下のように自分の欲求やメリットのために行う寄付のことです。
- 人から褒められたい
- 表彰されたい
- 性格がよいと思われたい
- 話題性を得たい(有名になりたい)
- 就職活動でアピールしたい
芸能人が多額の寄付を行った際に「売名行為だ」と批判されるのもこのケースとなり、ニュースやSNSなどで話題になることで知名度やイメージを上げる目的があると思われるためです。
節税対策による寄付
寄付は節税対策につながることから偽善と思われることがあります。日本には寄付金控除という税制優遇制度があり、納税者が寄付を申告すると相続税・所得税・住民税などの負担を軽減できます。そのため寄付者のなかには、「国に税金を支払うよりも自分の応援したい団体にお金を送りたい」と考えて寄付をする方もいるようです。
ただし、寄付金控除を利用しても寄付金額を上回る税金が軽減されるわけではなく、寄付によって手元のお金が減るのは事実です。寄付金控除は寄付者が得をする制度ではなく、あくまで寄付文化を促すための税制優遇措置であることを覚えておきましょう。
寄付を節税対策だと批判する人のなかには、多額の寄付を公表しても実際はそれほどお金を手放していないこと(※)を偽善と感じたり、寄付金控除の制度をよく理解せずに寄付者が得をしていると勘違いしたりする方がいます。また、国に納めるべき税金を寄付に充てることで結果的に自分たちの負担が増えると考える方もいるようです。
(※)例えば5万円寄付しても寄付金控除により所得税が1万9,200円減額された場合、3万800円の支出となります。しかし5万円の寄付を公表すればそれだけの称賛を浴びることに。それを偽善と感じる方がいるわけです(控除額の上限や減税額は制度の種類や所得などの条件により異なります)。
企業のイメージ回復や問題解決を伴わない寄付
企業が寄付活動を行うことは、企業イメージの向上・顧客や投資家へのアピール・優秀な人材確保など、さまざまな面でメリットがあります。しかし、不祥事を起こした企業がイメージ回復の目的で、また環境破壊を行っている企業が責任逃れの目的で寄付を行うケースでは、その行為が偽善と取られる可能性が高くなります。
これらの寄付は表面的・形式的なものであり、問題の根本的解決にはつながりません。よって他者のためではなく、自社の利益のために外面を取り繕う偽善行為であると見なされるのです。
必要以上に美談化された寄付
寄付者自身が寄付行為を必要以上に自慢したり美談化したりすると、周りから偽善と思われることがあります。そもそも日本人には謙虚さを重視する価値観があり、寄付を公表しないことを美徳と感じる人もいます。そのため、必要以上に美談化された寄付は、自己アピールが目的であると判断されることがあるのです。
受け取り側のニーズを考慮しない寄付
受け取り側のニーズを考慮しない寄付も偽善と思われます。例えば、以下のようにただ自分が不要なモノ・相手が迷惑に感じるモノを送る行為です。
- 賞味期限の切れた食品
- 着古した衣類・肌着
- 被災者への千羽鶴
- 使えないおもちゃ(カードの足りないトランプなど)
緊急支援などで現地の情報を十分に得ることができず、よかれと思って送ったモノが結果的に迷惑になってしまうケースは寄付とは言いません。相手がいらないとわかっているにも関わらず送りつけるのは、相手のことを考えていない行為です。寄付をして「自分がよい気分になりたかった」という自分勝手な動機が偽善と見なされます。
寄付が偽善と思われないためには
誰かを助けるよい行いをしたにも関わらず、その行動を偽善と非難されるのは辛いものです。そこで、寄付が偽善と思われないために気をつけるべき3つのポイントをご紹介します。
純粋な善意から寄付する
偽善と思われないためには、相手のためを思う純粋な善意から寄付をするようにしましょう。ただし、街頭募金などを行う際に毎回「これは本当に相手のための行動か」などと深く考える必要はありません。真面目に考えすぎると寄付ができなくなるためです。
不純な動機が混ざっていても、相手のために行動したいという気持ちが少しでもあれば寄付をすればよいでしょう。その寄付により誰かを支援できるのは事実であり、評価されるべき行動だからです。寄付した事実を自分のために過剰に利用しなければよいということです。
相手のニーズを考えて寄付する
寄付をするときは、事前に相手のニーズを考えることが大切です。不要なものを送ると役に立たないだけでなく、ゴミが増える・廃棄料がかかるなど、相手側に迷惑をかけてしまうためです。
物資を寄付する際には、受け取る側(団体)が必要とする物資の種類や送付方法をホームページなどで事前確認し、ルールを守って寄付を行うようにしましょう。
寄付したことを過剰にアピールしない
周りから偽善と思われないためには、寄付したことを過剰に誇示しないことも大切です。自慢が過ぎると、周りに「よいことをした」とアピールするのが目的だと思われるためです。
また、「偽善だ」と騒ぐ人々の根底には、寄付者に対する嫉妬心があります。称賛されてズルい・経済的余裕があって羨ましいなどの妬みが非難につながるため、それらの人々の嫉妬心をあおるような行動は避けたほうがよいでしょう。
ただし、有名人など社会的に影響力のある人々が寄付を公表することは、寄付活動を活発化させる効果があります。そのため、タレントの指原莉乃さんやミュージシャンのYoshikiさん(X-JAPAN)などのように、たとえ批判があっても寄付への関心が高まればよいという想いから公表を続けている芸能人もいます。
・参考記事
偽善につながらない手軽な寄付も
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