スーダンの内戦はなぜ続く?争いの経緯をわかりやすく解説
スーダンとはどんな国かご存知でしょうか。ニュースや新聞でスーダンの内戦が取り上げられますが、何が原因で争っているのか聞かれたらなかなか答えられない人も多いと思います。
今回はスーダンの内戦についてまとめましたので、分かりやすく解説していきます。
スーダンとは?内戦が続く国
スーダンの正式名はスーダン共和国。アフリカ大陸の北東部に位置したアフリカ大陸で3番目に大きな国です。
1820~1821年オスマン・トルコ帝国支配下だったエジプトの侵攻で北部スーダンがオスマン・トルコ帝国の支配下となりました。しかし、1881年からスーダン人指導者ムハンマド・アフマドをマハディ(救世主)としてマフディーの乱を起こし、マハディ国家が建国されました。その後イギリスとエジプトがマフディー国家を制圧。
1899年スーダンはイギリスとエジプトの共同統治に置かれます。しかし、イギリスは民族同士で対立させることをきっかけに、自らの支配を安定させる狙いで、南北に分断して統治する方法を採用しました。
このとき、エジプトの影響が強かった北部はイスラム法に基づいた統治が行われ、イギリスの影響が強くなった南部はキリスト教が広く普及されます。そんな中、1956年にイギリス・エジプトの共同統治から独立し、スーダン共和国が誕生しますが、その主体と自治政府は北部のイスラム教徒が中心だったため、内戦が勃発。大きな分断が生まれてしまうのでした。
スーダン内戦の経緯は?分かりやすく解説
なぜスーダンは内戦が多いのか?それぞれの内戦をわかりやすく解説していきます。
第一次スーダン内戦
イギリス・エジプトによる共同統治が終わる前後、スーダンは北部のイスラム系の人々が主体となっていました。また、南部のヌザラで労働者のデモが発生した際、警察隊が武力で抑え込んだこともあり、1956年のスーダン独立が北部中心主義の際、不満が爆発。北部と南部の間で内戦が勃発しました。
この第一次スーダン内戦は、1972年に南部3州の自治を認めるアディス・アベバ合意によって南部は分離独立を撤回。一時終結となります。
第二次スーダン内戦
1972年にアディス・アベバ合意で終結した一次スーダン内戦でしたが、中央政府と南部スーダンの対立は続き、中央政府がイスラム化政策を強めたことに反発した、南部スーダン勢力が1983年に 反政府組織スーダン人民解放軍(SPLA)を結成します。
1983年南部スーダンの自治権と油田をめぐって武力闘争が始まった内戦が、第二次スーダン内戦でした。第二次スーダン内戦は、2005年に和平を締結し、22年の長い内戦が終わりました。
ダルフール紛争
ダンフール紛争は、2003年にスーダン西部のダンフールでアラブ系遊牧民族と非アラブ系住民の対立から起こった民族紛争です。政府に対する不満を募らせたダルフール地方の非アラブ系住民が反政府勢力を組織して蜂起します。
しかし、政府を支援するアラブ系の民兵組織ジャンジャウィードと衝突。2010年、和平合意が結ばれたものの、多くの犠牲者と避難者が出る結果となりました。
バシール大統領の失脚
スーダンは1989年から軍事クーデターにより就任したバシール大統領が30年近く政権を握っていました。しかし、 パンや燃料の何倍も値上がりしたことに対しての市民のデモがきっかけに、軍がクーデターを起こし2019年にバシール大統領は失脚しました。
その後、暫定統治をしていた軍が民主化勢力と共同統治を行い、民主化を進めていましたが、2021年に再び軍がクーデターを起こし軍が政権を握りました。
スーダン軍は民生移管に向けた枠組みについて、民主派勢力と合意しますが、ジャンジャウィードを前身とする準軍事組織RSF(即応支援部隊)と組織統合を巡って対立。2023年4月から国内各地で戦闘が開始されました。
独立後も内戦が続く南スーダン
一方、2011年の住民投票によって独立を果たした南スーダンですが、その後もクーデター未遂が発生するなど、内戦が絶えない状態です。そのため、国連は子どもの3人のうち2人に相当する450慢人が人道的支援の必要性が非常に高いと警鐘を鳴らし、今後も混乱が続くと考えられています。
また紛争の影響で土地は荒れて農作物が育ちにくく食糧危機を抱え、安全な水の確保や教育も不十分な環境で非常に苦しい状況となっています。
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