こけしの由来や意味とは?込められた願いを知って正しいお別れを
顔立ちや模様、色彩に独特の個性がある”こけし”。日本の伝統工芸品として有名ですが、何のために作られた物なのか、由来を知っている人はあまりいないかもしれません。縁起物?それとも供養のために作られた物?その由来や歴史について考えてみましょう。
この記事を読めば、すでにこけしを持っている方はより愛着を持てるように、手放そうと考えている方は誰かの笑顔のために活用する方法を見つけられるかもしれません。
こけしって何?由来や種類をご紹介
こけしは、いったいどのくらい前から、どのような理由で作られるようになったのでしょうか。その種類の多さについても解説します。
こけしとは?
こけしとは、江戸時代の末期から東北地方の温泉地でお土産として売られてきた木製の人形玩具です。日本の伝統工芸品の1つで、最も古い生産地は宮城県の鳴子といわれています。
球形の頭と円柱の胴が特徴で、女の子の顔が描かれ、胴には伝統的な模様が描かれています。高さは10センチ~50センチ、太さは3センチ~10センチほど。価格は2,000円ほどが相場ですが、こけし工人(コケシ作家)によって価格が異なります。こけし工人によって希少価値が高いものがあり、こけしコレクターもいるほどです。
こけしの由来や歴史
江戸時代末期(1804~1830年)に、お椀やお盆を作る職人「木地師(きじし)」が温泉地のおみやげ玩具として作ったことが、こけしの始まりといわれています。
また、以下のような記録から、こけしは地方によっては「子宝を授かること」や「子供の健康な成長」を願って縁起物として作られた、とも考えられています。
- 幕末期の記録「高橋長蔵文書」には、”こふけし(子授けし)”と記されている
- お祝い人形である「御用人形」と同じ”水引手”という模様がこけしの頭にも描かれている
ちなみに、近年ではこけしは「子消し」「子化身」を語源としている説もあり、堕胎や間引きされた子供の慰霊をするためのものと考える人もいます。しかし、その説を裏付けるような文献は見つかっていないため、その信ぴょう性は低いと考えられています。
こけしの種類
こけしは作り方や模様、色彩などの特徴から、以下のように東北6県11系統に分類されています。
- 青森県:津軽系
- 秋田県:木地山系(きじやま)
- 岩手県:南部系
- 宮城県:弥治郎系(やじろう)、遠刈田系(とおがった)、鳴子系、作並系(さくなみ)
- 山形県:蔵王高湯系(ざおうたかゆ)、肘折系(ひじおり)、山形系
- 福島県:土湯系(つちゆ)
それぞれの系統の特徴は、以下のとおりです。
津軽系…頭と胴が1本の木から作られる「作りつけ」という技法で作られるものが多い系統です。オカッパ頭とくびれた胴、スカートのような末広がりの足元が特徴。模様はボタンの花、ダルマ、アイヌ民族の模様などがあります。
木地山系…らっきょう型の頭と太い胴が特徴の「作りつけ」技法で作られた系統です。他の産地のこけしよりも小ぶり。前髪を赤いリボンで結っていて、キク、井桁、串梅、梅鉢模様の着物をまとっていたり、前掛けのような「前垂れ」が描かれたりしています。
南部系…頭が「はめ込め式」という技法で取り付けられていて、クラクラと動くことが特徴です。もともとは彩色が無く、木のぬくもりを感じる素朴なこけしです。
弥治郎系…頭の上には、ろくろで何重にも鮮やかな線が付けられている系統です。着物の襟や袖、チョウや花模様が描かれていて、ウエストがくびれている女性らしいこけしです。
遠刈田系…なで肩で細い胴と頭が差込棒でしっかりつなげられた「差し込み式」のこけしです。大きな頭には「てがら」と呼ばれる放射状の模様が描かれ、切れ長の三日月形の目、「人」の文字に似た鼻が特徴です。
鳴子系…首の部分を回すと「キュッキュッ」と音が鳴るこけしです。水引きで結んだ前髪、段のある肩、鮮やかなキク・ナデシコ・カエデの模様の着物が特徴です。
作並系…子どもが握って遊べるように細く作られた胴が特徴のこけしです。頭は「差し込み式」で、肩にはろくろで描かれた線、胴にはカニに似たキク模様が描かれています。
蔵王高湯系…頭が大きく、丸みのある太くて短い胴が特徴です。頭は赤い放射状の線「てがら」とオカッパ頭が描かれていることが多く、胴にはキクやベニバナなどの山形の植物が描かれています。
肘折系…丸型や丸みのある四角い大きな頭に、太い胴が特徴です。三日月形の目と、厚くて赤い唇という、インパクトがある表情をしています。胴は黄色に塗られることが多く、その上にキクやナデシコが描かれています。
山形系…子どもが手に持って遊びやすくするため、小さな頭に細い胴が特徴です。前髪と左右の髪の毛、赤い髪飾りが描かれたこけしです。胴にはサクラやウメ、ベニバナ、ボタン模様が描かれています。
土湯系…頭のてっぺんに、蛇の目模様の「かせ」と呼ばれる赤い髪飾りが描かれているこけしです。胴体の裾がふくらんだものと、くびれたものがあります。胴体に、ろくろで描かれた赤・黄色・緑の線があることが大きな特徴です。
不用になったこけし 供養は必要?
こけしは必ずしも供養が必要な人形ではありません。しかし、仏像を作るときには最後に目を書き入れて魂を込めることから、東洋では「目のあるものには魂が宿る」と考えられてきました。そのため目のあるこけしも、ごみとしては処分しづらく供養したい人も多いでしょう。
また、こけしは子宝を授かること、子どもが健やかに成長することを願って作られた人形、という説もあります。子どもが無事に成長し役目を終えたのであれば、感謝の気持ちとして供養をすれば悔いなくお別れができます。供養の費用は人形の大きさや形式によって異なりますが、お寺に直接持っていくか、郵送することで受けられます。
供養の必要性を感じたのであれば、お近くのお寺など対応している場所を探してみましょう。
こけしを寄付して社会貢献
こけしはひとつひとつが手作りであるため、表情や模様にさまざまな個性があります。その個性を求めて、こけしのコレクターがいるほどです。自宅では役目を終えたこけしも、捨てるのは少しもったいないかもしれません。ほしい人に寄付をして貢献する。それも1つの選択肢として考えてみませんか。
たとえば、寄付ができるサービス「キフコレ」を利用すれば、4つの社会貢献ができます。段ボールに梱包して郵送するだけで、「安全な水を確保できない国に売り上げの一部で水浄化剤を寄付」「途上国の雇用」「障がい者の雇用」「環境保護」などの貢献ができるサービスです。
ただごみとして処分してしまうか、それとも再び誰かの手に渡り誰かを笑顔にするか。キフコレを利用して、あなたの大切なモノを社会貢献に役立てませんか。
キフコレでできる「4つの社会貢献」に関しては こちらから